コミュニケーションの花を咲かせる
●国試合格者2383人
今年の春は、桜の早い開花の明るいニュースに反して「歯科の春」は「67.5ショック」からスタートしました。20年度の歯科医師国家試験の合格率が67.5%、この10年来最低を記録したからです。歯学部を志望する受験生が15%減少しているという報道も、歯科の将来に対する社会の厳しい見方を反映しています。
ともあれ、新たに2383人の「歯科医師」が誕生したことをともに喜び祝福しましょう。私たちは、人間のQOLに直結する歯科医療の領域・仕事は無尽蔵であり「歯科の未来は明るい」と確信しています。それだけに、この若き歯科医療の担い手たちとともに、歯科のベクトルをなんとしても明るい方向に向けていきましょう。
●「夢みる」1期生合格!
「COMNET NEWS」で紹介している「夢みるこどもキャンペーン」の15年にわたる運動から、新しいひとりの歯科医師が誕生しました。小4で第1回目のキャンペーンに作文を応募して最優秀賞に選ばれ、以来日本と世界の子どもたちの「夢」をはげます活動に参加している長尾怜美さんです。この運動を支え、子どもたちの夢を応援している歯医者さんになろう、と決意して歯科大に入り、この春見事に国家試験に合格しました。「怜美ちゃんを『先生』と呼ぶようになったのね」と基金のアグネス・チャン理事が感慨をこめて語っていましたが、社会に対して熱いメッセージを送り続けている新しい歯科医師の誕生は、これからの歯科の果たすべき役割を考えるうえでも、この春の明るいニュースです。
●自費率70%の医院
初夏の日差しの4月12日、Y歯科・院長先生の講演を聴きました。会員情報誌Togetherでお馴染みの経営ドクター福田英一氏の事務所が主催する「歯科を良くする会」のセミナーです。「33歳までワルだった」というY先生、高齢化の進む団地で開業、「ビッグな歯医者になろう」と志をたて、現在ユニット10台、スタッフ28人、現代の「三種の神器」CAD CAM、CT、マイクロスコープを駆使して、インプラントに矯正、ホワイトニングで、この時代に自費率73%、850枚(3月)というスゴさ!
そのヒミツは!? たくさんのプロジェクトやワクワクイベントもさることながら、徹底した説明と「5次」まで行うコンサルテーションが決め手、やはり肝心要は「コミュニケーションの徹底」にあったのです。
●要はコミュニケーション
「患者さんの本音!ネットアンケート」HONNETのフリーアンサーから患者さんの意識を分析すると、改めて回答者の多くが治療の「内容・期間・金額」を知りたいと希望していることが明らかになりました(「HONNET vol.3 患者さんのナマの声を聞こう」参照)。私たちの経験からみても、歯科医院から患者、来院者に向けた情報は質量ともに決定的に不足しています。わからない、知らないのは、第一義的には情報を提供する側、教育する側の責任です。「デンタルIQ」といいますが、その「IQ」を高めるのは、医療者側の義務なのです。
「医療」の根幹として「コミュニケーション」があり、経営向上も自費率アップも、その延長線上にあります。会員情報誌Togetherインタビューで紹介している札幌のすずき歯科クリニックをはじめ、成功医院に共通するのは、第1にあらゆる機会を通じて患者さんの話を聞き、話し、旺盛に情報開示、提供を行っていることです。院内は実に賑やかで、スタッフと患者さんの笑い声がたえません。そして、第2のポイントとして患者さんとのコミュニケーションを支えているのが、院内の院長・スタッフ同士のコミュニケーションと相互信頼なのです。
日本列島は花盛りの季節を迎えています。この明るい季節のように、院内外にコミュニケーションの花を咲かせ、歯科界から社会全体に明るいメッセージを送れるように、私たちコムネットも強力企画・ツールを開発し、コミュニケーションのサポートを展開してまいります。