歯科ルネッサンスの疾風になろう
●烈風・激動の2003年幕開き
新年早々「米イラク攻撃準備完了」「北朝鮮NTP脱退宣言」という激動の国際情勢、国内も経済危機打開の展望が見出せない「カオス」状態のなかで緊張が高まり、今年の前半、重大な危機の襲来が危惧されています。
歯科界においては、昨年の「高齢者負担1割」に続いて今年4月から社保本人3割負担が実施されようとしており、数%の受診率減少が予想されています。昨年、歯科診療所の収支差額は月127万円。約10万円(7.1%)減少しましたが(厚労省・医療経済実態調査)、今年はさらに患者減、収入源が予想されます。
昨年度の歯科医院倒産件数は216件(日歯調べ)、歯科界が現在の構造のままで推移するならば、今年はそれ以上に深刻な事態に突入することが予想されます。
●竜巻・激動期まず動くこと
「多少収入は落ちたが、様子をみて嵐が過ぎ去るのを待とう」というドクターも少なくありません。しかし、この時代、無防備に「何もしない」ことは、今は余裕があるとしても、嵐を前に小船で漕ぎ出すに等しい行為です。
なぜなら、明確に「自由化」「競争原理の導入」政策が掲げられているのに、現在の医療保険制度、補綴中心の診療体制の延長線上で、5年後10年後存続し続けることができるとは断言できないからです。手を拱いて考える時間はとうに過ぎています。昨年末、「四師会」が初めて銀座で宣伝活動を行いましたが、遅きに失したとはいえ「議論」を越えて「行動」に立ち上がったことはまずは第一歩です。
●追風・健康増進法実施の年に
「二極化」のトップグループの歯科医院は、自院の「ブランド化」に成功しています。歯科医院の評価基準が曖昧という現状に対して「ISO」で武装する。補綴の限界に対して「予防」を前面に押し出す。狭い歯科の「枠組み」に対して、パタカラ等、医科や異業種との連携、融合をはかり「アメニティ」で特化する。等々、自院、ドクター、スタッフの持つ独自性、強みを伸ばして患者さんに「満足」を与え、嵐の中でも揺るぎない経営を続けています。
それは、競争で「他院を蹴落とす」というより、患者さんのニーズに応え、支持を得て繁栄するありかたです。「歯科保健」が明確に位置付けられらた「健康日本21」が今年から「健康増進法」として実施に移されます。この「追風」は従来の枠組みを突破する好機です。「歯科領域」の評価と拡大は、全ての歯科関係者のがんばりにかかっています。
●疾風・「歯科ルネッサンス」を掲げ
「行動する指針」は何か?何をめざして進むべきか?前回、私たちは「原点から考える」ことを提唱しました
(ふたたび「原点」から考える)。その「原点」はまさに「患者さんの健康」にあります。患者さんの立場にたって、現在の歯科医療、医療全体を再構築する、それ以外に再生の道はありません。もぐらたたきのように「疾病」をターゲットにするのではなく、「健康」を目標にしたとき、初めて医療経済も改善されます。
まずは、定期検診率2%(厚労省)という現実からの出発です。予防のために、健康を増進させるために歯科医院の扉を開ける、それが「ルネッサンス」人間復興と医療再生の扉なのです。
私たちは、歯科界こそが自らルネッサンスの疾風(はやて)となって医療界に風雲を巻き起こす気概と行動力を発揮することを願っています。その潜在能力と可能性を「歯科」は十分に持っているのです。