もっともっと 議論を!
医療改革「118アンケート」に8000人参加
●患者さんの関心の大きな高まり
日本列島、季節は一気に秋に突入しました。9月は、台風や内外の重大事件が頻発し、日本や世界の進路をめぐる大きな「岐路」を肌で感じないわけにはいきません。歯科医療をめぐる動きのなかでも、9月5日に厚生労働省が、サラリーマンの健康保険本人負担を現行の2割から3割に引き上げるなど、来年度からの医療改革の具体的方針を明らかにしました。
コムネットは今、一般市民向けホームページ「でんたるらんど」上で、「医療改革」を問う「118患者さんアンケート」を実施していますが(9月1日〜11月8日)、その回答数が3週間で8千件を超え、国民がその行方に大きな関心を寄せていることを示しています。今年、国民の圧倒的な支持を受けて誕生した小泉内閣が掲げる「骨太改革」、なかでも2002年実施に向けた医療改革の「痛み」の強さはどうか、そして、それは果たして日本の医療の質的向上につながるのか…。形を現し始めた「医療改革」の内実を検証しなければなりません。
●健保本人3割・高齢者75歳・保険料引き上げ
9月25日に公表された医療制度改革「試案」のポイントは以下のとおりです。
前回で取り上げた
改革項目のなかで、「痛み」の部分だけが具体化されました。「規制緩和」も盛り込まれますが、冷静にみて、医療改革のビジョンがありません。1997年、当時の小泉厚生大臣時代に行われた、社保本人の2割負担を強行した値上げ路線と同じ、現行システムの「延命策」でしかありません。《医療費が増大する⇒国家財政逼迫のなかで健康保険制度を継続させるには、患者側の負担増で賄うしかない》という従来の発想から一歩も出るものではありません。
小泉首相がめざしているのは、「抜本的な改革」だったはずであり、これまでの「護送船団」方式の政治、医療体制に決別し、それを打破するなかでめざされるべきものであったはずです。
●患者(クライアント)の立場から旺盛な議論を
医療の主人公は患者・国民であり、医療改革は、医療の質を高め、国民の利益のために実行されなければなりません。しかし、小泉内閣が誕生して5ヵ月、「改革」のプログラムは内容も不明瞭で遅々として進まず、「痛み」や「自助努力」だけが求められています。改革によっていかなる医療体制・内容を提供するのかという展望も示されず、情報提供も訴えもありません。今回提起された「現行制度延命策」では、破綻は時間の問題です。
そこで、私たちは患者・国民の視点から、今どのような医療改革が求められるのかを考え、積極的に提案するために、「118患者さんアンケート」に取り組んでいます。「上からの改革」に期待し一喜一憂するより、まず患者さんと語り、患者さんにとって何が一番大切かをしっかり把握し、まずは私たち自身の課題を明確にすることが大切です。このアンケートをもとに、大いに議論しましょう。自ら羅針盤を持ち、進むべき方向を定め、いかなる事態が迫っても冷静にしかも積極的に医院経営をすすめていただきたい。今回のアンケート結果には、希望あふれる経営のヒント、ノウハウが満載されるはずです。ご期待ください。