目的我々は口腔リハビリ器具「パタカラ」と口唇閉鎖力測定器「リップデカム」を用いて若年層から高齢者の口唇閉鎖力の測定とその年齢別推移からその意義について評価を試みた。また問診により有病者群と健常者群とに分け、それぞれ年齢別・男女別の口唇閉鎖力の推移や疾病との関連性を指し示した。 |
対象者 |
考察と結論
- 1)若年層の推移
- 口唇閉鎖力は、3〜6歳までは男女とも差がなく、7N前後までゆるやかに上昇している。 その後は成長に伴い、男女とも強くなった。数値は男性が優位である。
18〜20歳では男性が14N〜17N、女性が10N〜13N位でほぼ完成する。 - 2)成人の推移
- 30〜50歳代は一定の値を保ちつつ男性優位で進むが、食生活や生活習慣によりピークが違ってくる。また、女性は20代で成長が完成するため、上昇しない。女性の場合、40〜50歳代で下降し始める。
- 3)高齢者
- 60歳前後からは、老化により低下する。
- 4)低下要因
- 発育不全、運動不足、疾病、老化
- 5)有病・健常者の違い
- 3〜59歳の男女別で調べたところ、有病者(口呼吸・へんとう炎・咽頭炎・いびき・アトピー・喘息・鼻炎・生活習慣病)は健常者より2〜3N低いが、健常者とほぼ平行した推移であった。また、有病者の割合は女性の方が多かった。年齢・性別を通じて口唇閉鎖力が低い(10N以下)グループは、高い方に比べ男女とも口呼吸・いびき・アトピーなどを発症している人が多いことがわかった。このようなことから、口唇閉鎖力は口腔内はもちろん、のどや皮膚の疾患、肥満や睡眠障害などの生活習慣病など全身の健康度も表すものであると考えられる。若年者から高齢者まで、パタカラによる口腔筋の機能訓練を実施することで様々な不快症状の軽減や健康維持に効果があるといえる。
(文責編集部)