歯科界へのメッセージ

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コムネット会員情報誌「Together」に掲載している、弊社社長・菊池恩恵によるコラム「TRIANGLE」です。

新たな歯科医療創造への門出

日本歯科人間ドック学会のめざすもの

●歯科人間ドック4月スタート

 第1回歯科人間ドック学会・学術大会(於東京・日本歯科大学)は1999年2月28日、300人を超える会員・スタッフ・一般市民の参加のもとで開催されました。直前に、開始時間を1時間早め会場を大きなホールに替えるなど、質量ともに、現在の予防歯科とドック学会への期待と関心のほどを伺わせる盛況ぶりでした。
 1998年4月の発足以来、1年の研究・実践を経て提案された「歯科人間ドック基本プログラム」は、緻密で具体的な実践の指針として歓迎されました。検診メニューにサリバテストを位置づけたことは、この間のカリオロジーの発展を背景にした前進です。さらに、テストの実習セミナーを準備したことも、4月からの全国的な展開をめざす学会の積極的な姿勢を示しています。99年春、いよいよ歯科人間ドックがスタートします。

●「人間を診る」こと

 「人間ドックの目的は、病気か否かを診るのではなく、健康度レベルを診ることにある。」講演のなかで、聖路加国際病院・日野原茂雄先生は、検査結果を予防に有効に生かし、健康度レベルを上げる独自の表示法を紹介。日赤熊本健康管理センター・伊東隆利先生はいち早く人間ドックの基本検診に歯科を加え、既に受診者2万人に達する実績をもつ検診機能と検診システムを報告し、その先駆性に大きな拍手が送られました。
 岡山大学・渡邊達夫先生は、「人間ドックの未来」と題して、マーケティング理論をもとに「歯科人間ドックが市民権を得、国民に信頼されるためには、EBM(Evidence-based Medicine:事実に基づく医療)が必要」と、明快な論旨で医療者のありかたを示しました。 さらに、トータルヘルス研究所・中島幸一先生は「口は生きる原点」であり、今の歯科には基礎医学や栄養学が欠けていると鋭く指摘しました。
 「一般公演」も11本にのぼり、矢継ぎ早に研究成果を披露しました。講演全体の特徴として、予防の概念を発症予防から健康の維持・増進へと進め、さらに口腔から全身へ全身から口腔へという、トータルな視点から「人間を診る」ことの大切さが強調されました。それこそが「歯科人間ドック」たる所以なのです。

●患者さん(市民)こそが主人公

 現代は、これまでの社会を支えてきた仕組みや考え方の枠組みが根本的に変革する、即ち「パラダイム」転換の時代です。歯科に限らず医療全体が、誰のために、何を目的に行なわれなければならないのか、次の世紀に向けて原点から問い直すべき時を迎えています。
 冒頭の「歯科人間ドック基本プログラム」提案の基調講演のなかで、同学会学術委員相良俊男先生が話された最後の言葉が印象的でした。「歯科壊滅の危機のなかで、その打開の可能性は、医療者側だけではなく、市民から支持される医療をいかにつくりあげるかということにある。」単なる過去の延長ではない、新しい議論と行動のなかから生まれる新しい歯科医療の方向を、ともに模索し続けましょう。患者さん・市民はドクターの新しい門出に期待し、注目しています。
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