歯科界へのメッセージ

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コムネット会員情報誌「Together」に掲載している、弊社社長・菊池恩恵によるコラム「TRIANGLE」です。

歯科の「羅針盤」として

「歯科の明日」をみつめて

おかげさまでコムネットは創立30周年を迎え、本誌Togetherも257号を数えるまでに至りました。発刊以来25年間1度も休むことなくお届けすることができましたことに改めまして感謝申し上げます。
巻頭コラムTriangleでめざしたものは、歯科の未来を展望し、これからの歯科界の進むべき道をご提案させていただく「歯科の羅針盤」でありたいということでした。
「コミュニケーション」、「予防の時代」、「かかりつけ」、「全身との関わり」、「食べること」等々、時代のキーワードをいち早くお伝えして、医院経営前進の一助にしていただこうと考えました。何よりも、歯科大激動の時代に「軸を定めて進む」こと、医療哲学の大切さを訴えさせていただきました。

予防歯科で「かつてない活況」

Triangleの25年間でとくに印象に残っている号があります。1998年11月号(66号)「アメリカ歯科界の『元気な風』」と12月号(67号)の「『最高の歯科医師』への挑戦」です。
アメリカの歯科事情の視察ツアーに参加し、当時のアメリカの歯科界の活況に接し、その底流に流れる「尊敬される歯科医師」の哲学を知ったのです。
その頃アメリカではフッ素を活用した予防歯科の推進で12歳児のDMFTが1.4と、日本の今の水準を20年前にクリアしていました(当時の日本は3.64)。同時に1965年から20年間でGNPの伸びが1.5倍だったのに対し、歯科医療費は2倍以上の伸びを示していました。予防歯科によって守られた歯の定期管理をベースに「かつてない活況」を呈していたのです。

「10232」の患者さんがいる!

訪問したロスの歯科医院では、滅菌も完璧で「アメリカでは、予防が進んで残存歯の多い高齢者が多くなり、歯周病の治療と管理の需要が高まっています。私たちの役割の中心は予防とメンテナンスなのです」と語っていました。その医院に通う高齢の患者さんのひとりは「10232」、なんと102歳で32本の歯を保っている女性で、6ヵ月毎に1回70ドルの定期診査とクリーニングに通っていました。「8020」が4割に達した今の日本がまさにこれから向かおうとしている歯科の姿がありました。その患者さんは、定期メンテナンスで生涯歯と口腔の健康を守ってくれる担当歯科衛生士を“マイエンジェル”と呼んでいました。

「最高の歯科医師」への挑戦

アメリカで歯科医師が尊敬され「憧れの職業」のトップを飾っている理由は、収入のほかにもこうした「健康を守る」という哲学をもって医療活動を行っているからにほかなりません。「生涯自分の歯でよりよく咬めてより美しく」、それがQOL「生活の質」の根源であり、歯科医院こそがそれを共に守ってくれるパートナーなのですから。

最後に、Together66号でご紹介した、今から150年前の1869年、当時ニューヨークの歯科医師会長であったDr. John Brockway が語った言葉「最高の歯科医師とは」をお贈りいたします。

――最高の歯科医師とは、80歳代に達するまで、子供の場合と同じように、予防によって自分の正常な歯を保てるようにしてあげることができるとの評判を得た人である―― そう言える時代がやってくるだろう(そのときが早く来るように、我々は努力しなければならない)。

Dr. John Brockway


ごあいさつ

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