歯科界へのメッセージ

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コムネット会員情報誌「Together」に掲載している、弊社社長・菊池恩恵によるコラム「TRIANGLE」です。

男性介護者への熱いエール

男性介護者支援大会開催

9月初め、塩釜市で「男の介護教室&男性介護者と支援者の全国ネットワーク」の主催による第1回東北大会「男性介護者に目を向けて!」が開催されました。
4年前に石巻市で「男の介護教室」を立ち上げ、さらに摂食嚥下研究会「食べる輪」を主宰、「食べる支援」を核にした多職種連携の地域医療を展開している石巻・雄勝歯科診療所の河瀬聡一朗所長が中心となって開催され、男性介護者と支援活動を行っている約100名が集まりました。全国100万人を超える男性介護者に思いを寄せ熱いエールを送るパワー全開のシンポジウムになりました。

複雑で深刻なケアメンの実態

講演では、朝日新聞編集委員の清川卓史氏が「男性介護者を取り巻く社会状況について考える」と題して、超長期化する老後のなかで男性による介護が生活困難や孤立、病気などの複合的な問題を内包している現実を明らかにしました。

続いてケアタウン総合研究所代表の高室成幸氏が「男性介護者の危険シグナル」と題して、介護者のジレンマやストレスをジェンダー(性差)の視点から解き明かして、過剰なストレスを抱えた男性介護者への配慮ある支援のありかたを提案しました。2題の講演をつうじて、男性介護者をめぐる複雑で深刻な問題点と課題が浮き彫りにされました。

コミュニティと支援の拡がり

厳しく重い現実を前に、プログラムは島田秀平氏による「手相占い」でアイスブレイク。心と体をほぐして「事例紹介」へ。はじめに立命館大学の津止正敏教授による「拡がるケアメン・コミュニティ〜男性介護ネットの活動〜」。男性介護者の組織化が1980年にスタートした「呆け老人を支える家族の会」を皮切りに現在大小さまざまな組織や活動、多様な形態でネットワークが形成され、全国で100カ所以上のコミュニティが生まれていることを紹介し「介護者に寄り添い、介護者と一緒に考える支援を」と訴えました。

「男の介護教室」の展開

続いて河瀬氏が「男の介護教室の取り組み」を紹介。氏は東日本大震災で歯科の空白地区になった雄勝に赴任して地域医療に取り組むなかで男性介護者が苦悩している現実を目の当たりにしました。そこで2014年1月「男の介護教室」を立ち上げ、これまで宮城県内を中心に7つの地域で教室を開催してきました。教室のなかでもっとも重視しているのが男性介護者の最大の悩みである食事作り。カリキュラムには必ず調理実習を入れ毎回大好評。河瀬氏は「男性介護者にはそれぞれ多様な悩みがあり、その一つひとつに丁寧に寄り添ってゆくことが大切だと学びました」と語りました。

WSでアクションプラン

続くプログラムで、課題を共有してアクションプランをたてるワークショップの中から明日からすぐに実践できるさまざまなやアクションプランが発表されました。
日本の医療の舞台は病院から地域に移行しつつあります。その地域には相談相手もおらず人知れず医療や介護で困っている人がいます。男性介護者の支援は、みんなが健康で幸せに暮らせる地域づくりと軌をひとつにするものであり、それは地域のネットワーク、多職種連携とコミュニティづくりのなかで実現できるものです。その中心には生きる源「食べること」が位置づけられるでしょう。こうした男性介護者支援と地域づくりの波が今後全国に広がってゆくことを期待してやみません。

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