歯科界へのメッセージ

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コムネット会員情報誌「Together」に掲載している、弊社社長・菊池恩恵によるコラム「TRIANGLE」です。

もしも自分や家族なら...

「都民ファースト」完勝の日に!

7月2日、「都民ファーストの会」が圧倒的な勝利を収めた東京都議選投票日、「読売新聞」は選挙報道とともに「歯を削る医療機器、半数が使い回し」という記事を掲載しました。
その後テレビ各局が朝のワイドショー番組で相次いで特集を組み、コムネットにはその直後から問い合わせが相次ぎました。「この数字ホントでしょうか」「患者さんから先生のところはどうなんですかと聞かれました」「ウチではきちんと患者さんごとにグローブもタービンを交換している。それを知らせたい」…。事務局は急遽3年前に作成した資料を送るとともに、新しい院内感染予防ポスターを制作して会員の皆様にお送りしました。

3年前の衝撃がふたたび!

3年前。2014年5月、同じく「読売」が「歯削る機器7割使い回し」と報じ、大きな社会問題に発展したことは未だ記憶に新しい出来事です。当時は「グローブやタービンを患者ごとに交換しているのは3割というが、実際にはもっと少ないのではないか」とさえ言われました。この3年間に「患者ごとに交換、滅菌している」が34%から52.1%に2割増えたことは前進ではありますが、半数は「感染症患者と分かった場合」が17.0%、「血液が付着した場合」16.4%、「消毒薬による清拭」13.4%という現状で、今回調査を発表した厚労省が述べているように決して「満足できる水準ではない」ことは明らかです。

感染予防対策は「1丁目1番地」

全国111の医療・福祉・保健生協が加盟し、300万人の組合員を擁する日本医療福祉生活協同組合連合会は、全国で70の歯科事業所を展開しています。そのひとつ、ユニット25台、スタッフ総勢45人と屈指の規模と積極的な活動で定評がある群馬県の利根歯科診療所の所長で同生協連の理事を務める中澤桂一郎氏(56歳)に生協連における滅菌対策について話を聞きました。中澤氏は「今回の数字は厚労省の調査ですが正確に実態を反映しているか疑問」と述べながら、医療生協における滅菌の基準についてこう語りました。

「医療生協の診療所では、基本的にはすべての患者の湿性生体物質は感染の可能性があるとみなして対策をとるスタンダードプリコーションに基いて感染対策を実施しており、当然グローブやタービンは患者ごとに交換しています。タービンはオートクレーブやタービン専用の滅菌器を使用してまとめて滅菌しています」。滅菌後の個別パッキングについては統一されていないといいますが、「外科的要素が大きい歯科医療にとって滅菌・感染予防は『1丁目1番地』の課題であり、それは診療所の規模や診療報酬の問題ではないと思います」と語りました。

「患者ファースト」でいこう!

中澤氏は、「大事なことは、歯科界全体が国民に胸を張って私たちの責務『健康寿命延伸のために国民の口の健康を守り全力を尽くす』という立場で日々実践していくことだと思います」と強調します。今回の調査でも70.4%が「医療安全や感染対策が不十分で改善が必要」と答えています。指摘を謙虚かつ厳正に受け止めてただちに改善のアクションを起こし、胸を張って「患者さんの健康を守るために感染予防をはじめ安全安心の診療に全力を尽くしています」と言える診療を実践していきましょう。コムネットにも「この数字で自らを戒め、どこまでも『患者ファースト』でいかなくちゃ」という声が寄せられています。

日常の診療にあたって常に「もしも自分や家族、スタッフが治療を受ける立場なら」という気持ちで患者さんに向き合うこと、それが「患者ファースト」の原点にほかなりません。

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