歯科界へのメッセージ

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コムネット会員情報誌「Together」に掲載している、弊社社長・菊池恩恵によるコラム「TRIANGLE」です。

歯科の「未来と夢」のために

4年に1度の歯科の大イベント

先ごろ、4年に1度のオリンピックイヤーに開かれる「日本デンタルショー」が開催されました。今回のテーマは「歯科医療 未来と夢」。混沌とした時代、日本の歯科界に明るい希望を見いだしたいという思いが表現されていました。

ここで、日本の「歯科の未来」を最も体現しているひとり川邉研次先生が30年続けてきた「姿勢咬合」の理論と実践を講演しました。

1953年生まれで今年63歳。1984年に静岡・菊川で「かわべ歯科」を開業し、口腔から心まで、全身の健康を視野に入れた予防歯科、「姿勢咬合」を導入して、タービンの音がまったくしない医院を作りました。PMTCや3DSというプラークコントロール中心の考え方では予防は完結しないと考え、「咬合」と「姿勢」、そして「笑顔」をテーマにした診療を展開。院内には1日中ゲタゲタきゃっきゃっという子どもたちの笑い声があふれました。

「笑顔創造空間」新橋未来歯科

彼は自らの歯科医院を「笑顔創造空間」と命名し、歯を削る治療をやめて2007年には保険医を辞退しました。そして2011年3月、東京・新橋に「未来歯科」を立ち上げました。そこでは、割り箸で歯根膜を刺激したり、視線を変えるだけで痛みから解放される無痛治療、ぐんにゃり曲がる「マルケンブラシ」から枕や椅子、ストレッチ板まで、予防歯科と姿勢咬合のありとあらゆるアイディアを駆使して臨床に応用しました。

予防先進国スウェーデンに続け

川邉先生は言います。「人を病気にしないこと、すなわち予防こそが医療本来の姿だと思います。実際に、予防先進国のスウェーデンでは『健康な人を増やす』ことを医療の目的にして、その結果『8025』を達成しています。そして『寝たきり』を作らず社会復帰させているのです」。彼がめざしているのは、日本をスウェーデンと同じように、川の水が飲める国、寝たきりの人を作らない国にすることなのです。いま1番力を入れているのが、お母さんと赤ちゃんへの指導。0歳児から親と子の姿勢や呼吸を診ることを予防の原点にしています。

歯を削って詰める歯科医療、減ってゆくむし歯を奪い合うレッドオーシャンではなく、根本から健康づくりをめざす医療に転換するならば、歯科医師はまだまだ足りない。歯科はこれから日本で最もすばらしい健康産業、感動産業になれる。競合・競争ではなく、ともに輝く歯科業界をめざしたい。川邉先生の描く歯科の未来は夢と希望にあふれています。

発想と行動の変化で未来を創る

歯科医療はいま大きく変わろうとしています。いや、すでに音をたてて変化しています。「歯科医療の対象は口の中の軟組織と硬組織(むし歯と歯周病)」という時代は終わりを告げています。その2つのターゲットの仕事は完全になくなることはないにしても急激に減少しており、それ以上に口腔と全身の関連が脚光を浴びているのです。
「口から食べること」が健康長寿の切り札として広く認められています。経口摂取、口から食べること、そして口腔ケアとリハビリによって寝たきりの人が起き上がったり歩けるようになったりする実例は今や無数に存在しています。

歯科医療は目的がチェンジしたのです。「歯を治す」こと、「治療とリハビリ」「口腔機能を回復すること」から、予防、「食べられる口」を守り維持することが中心テーマとなっているのです。患者さんとのお付き合いも生涯の健康パートナーになります。そう考えると「需要」は無限大に拡がります。「歯科の未来」には可能性に満ちて「夢と希望」があふれているのです。ためらいは無用。チャレンジ精神を発揮して発想と行動を変えていきましょう!

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