歯科界へのメッセージ

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コムネット会員情報誌「Together」に掲載している、弊社社長・菊池恩恵によるコラム「TRIANGLE」です。

日常の備えと連携を

熊本地震から1ヵ月半

最大震度7を2回記録した「平成28年熊本地震」は4月14日夜の発災から1ヵ月半を経過し、死者49人、住宅の損壊は10万棟を超え、現在9千人近い人が避難生活を余儀なくされています。また、震災関連死の疑いで20人が亡くなっています。被害総額は推計で4兆6千億にのぼり甚大な爪痕を残しています。亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被災された皆様方、とりわけ熊本、大分ならびに近県で建物や家財に被害を受けられたコムネット会員の先生方、歯科医院の皆様に心よりお見舞い申し上げます。

熊本城崩壊に「心が折れた」

コムネットではTogether5月号で被災地支援を訴えるとともに、5月上旬に熊本・大分両県で被災した5軒の会員の医院様に震災お見舞いの訪問を行いました。被災の実態は地域によって、また局所的に被害が甚大なところ軽微なところ様々で「地震がない土地」という定説があったことも備えに隙を生んだと言われています。

熊本市内では、歯科医師会長を歴任された歴史のある歯科医院のビルが全壊。同じく大きなビルの耳鼻科や泌尿器科の医院が全壊して赤紙が貼られ立ち入り禁止になるなど、たいへん痛ましい光景を目にしました。また県民の誇りで心の支えともなっていた熊本城の見事な石垣が随所で崩れ落ち、天守最上階の瓦や鯱(しゃちほこ)が悉く失われた姿は無惨なものでした。「心が折れた。自分が生きている間にまた前の姿を見ることはないだろうな」。市内を案内していただいた熊本市南区開業のやまさき歯科医院 山崎芳徳先生の無念の言葉が胸に残りました。

「患者が4割減った」医院経営

熊本の社会生活、経済活動は7割程度回復していると言われています。しかし、震災による経済的損失は、県の年間予算7千億の7年分に相当する4.6兆円。経済に敏感に反応する歯科医院経営は確実に打撃を被っています。やまさき歯科医院では患者数が4割減少。震災前は1日80人の来院者で賑やかだった医院の待合室はガランとしていました。

 「患者さんも被災者で避難していたり片付けや復旧に忙しく歯科どころではない、というのも理解できます。真の復旧までには半年はかかると思います」と山崎院長。直ちにその間の経営をどうしてゆくのか、資金繰り、訪問診療へのシフト等、スタッフの雇用を守り地域の医療ニーズに応えてゆく体制づくりに向けスピーディーに手を打っていました。これまでの経験から日常的に危機管理を行い、困難を突破してきた手腕が光ります。

包括的在宅支援チームの活躍

同じく熊本市内の武蔵ヶ丘で開業する友枝歯科医院の友枝圭副院長は、14日夜自宅マンションで震度6の前震に襲われました。「死の恐怖を味わった」と語る友枝先生は、家族で実家に避難し、医院の再開を準備しながら、訪問診療で連携している在宅支援チーム「てとてとココロ」の仲間たちとともに直ちに被災者の訪問や避難所への歯科支援を行いました。
「日頃から顔を合わせ協力し合っている包括的な在宅支援の仲間たちは集まってすぐに活動を開始しました」。初動体制の立ち上がりの早さ。どこに誰がいて、何に困っているかを日常的に把握しているので、他の支援チームにはできないスピードと高い質の対応で力を発揮しました。

いまの日本は、どこでいつ何が起こっても不思議はない状況にあります。私たちは山崎先生や友枝先生から「日常的な備え」の重要さと「地域の連携」の大切さを学びました。「きょうは大地震の前日かもしれない」という気持ちを忘れず備えていきましょう。

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