歯科界へのメッセージ

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コムネット会員情報誌「Together」に掲載している、弊社社長・菊池恩恵によるコラム「TRIANGLE」です。

命守り希望育てる歯科の力

東北関東大震災に歯科の支援を!

●避難所回る被災歯科医

3月11日、マグニチュード9.0の史上最大規模の地震、そしてその後の巨大津波が東日本を襲い、沿岸の街や集落を丸ごと流し去りました。死者、行方不明者3万人近くに達する、戦後最大の災害となりました。私たちは、この東北関東大震災によって、亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、その後も避難生活や原発放射能汚染により、厳しい生活を強いられている方々に対して、心よりお見舞い申し上げます。コムネット社員一同、一刻も早い復旧をお祈り致します。

被災者のなかには、多くの歯科医院も含まれ、コムネット会員の医院も、何軒も甚大な被害を被っています。しかし、そのなかでも、市内9医院中8医院が流失した陸前高田市の被災歯科医4人が臨時診療所を開設しているのをはじめ、診療所も自宅も津波に流され、まったくの無一物になりながらも、率先して避難所を回り、被災者の口腔ケアに尽力している釜石市のドクターなど、歯科医師としての使命感、志のもとに、地域の人々の口腔の健康を守るために全力で奮闘する姿が感動を呼んでいます。

●口腔ケアで感染予防を

3月20日付「朝日」に「口の中 清潔に」という見出しの震災記事があります。阪神淡路大震災後の震災関連の死亡者922人のうち223人が肺炎によるもので、口腔内細菌が原因の「誤嚥性肺炎」が多く含まれている。避難生活のなかでの口腔ケアが大切と訴えています。この震災でも、灯油不足による寒さ、食料不足、衛生状態、それぞれ極めて厳しい環境下の避難生活が続く中で、各地でインフルエンザが流行しています。

まさに、歯科の支援が求められています。静岡県における高齢者の調査で、口腔ケアの徹底で発熱の発生率が半分になる、という結果が出ています。とくにお年寄りが多い東北の被災地にとって、口腔ケアは「命を守る」支援にほかなりません。物資の支援はもとより、歯科医師・歯科衛生士による支援が急務です。

●生きることは食べること

1995年の阪神淡路大震災の際、巡回歯科医療チームの一員として診療活動を行った岡山大学の岡崎好秀講師が、その年の「歯界展望」に被災地における歯科医療についての提言を寄せています。岡崎氏は、震災直後から時間の経過を経て変化する急性症状のニーズとともに、咀嚼障害、「口で食べる」ことの大切さを強調しています。義歯を喪失した人が「日常生活では義歯がなくても困らなかったが、避難所では何も食べるものがなかった」。義歯紛失は、非常時においては「急患」となる。それは「入れ歯がなくておにぎりが食べられない人からだめになっていった」現実があるからです。さらに、氏は「おいしいと思って食べること」が生きる意欲につながると報告しています。

岡崎氏は、被災地では「歯でお困りの方」ではなく「食べることでお困りの方」を見つけて支援してゆくことの必要性を訴えています。そして、「食べることで人々の生命を担っている 歯科の役割を自覚しよう」とよびかけています。まさに「生きることは食べること。食べることは噛めること」なのです。

歯科界は、より積極的に、命を守り、生きる意欲、即ち明日への希望を育む「歯科の力」を発揮することができるのです。その歯科の役割を前面に掲げて、果敢に、旺盛に、支援を強めていきましょう。被災地は、「元気の源」歯科の支援を待っています。

コムネットでは東北関東大震災(東北地方太平洋沖地震)復興支援企画として、
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