自ら動けば必ず変わる!
●展望が見えない!?
先月号のTogether本欄で取り上げた歯科医療経済の動向に対して、患者減少の背景がわかったという声を頂戴するとともに、どうすればその困難を乗り越えることができるのか、自院の課題が何かわからない、展望が見出せない、という率直な意見や感想も寄せられた。同じように、不安や悩みを抱えているドクターも少なくないだろう。今回はそれを突破する「歯科医療」の可能性について考えてみたい。
●「需要」は存在する!
(前号の繰り返しになるがご容赦願いたい)日本の、1日の歯科の患者数は115万人。1歯科診療所あたりの平均患者数は1日16.9人である。それは、国民の62.7%が口腔にトラブルを抱えながら、治療しているのは11%にすぎない、その来院者の数である。
「患者を増やす」には、まずはこの、口腔に異常を感じている残りの51.7%の「潜在患者」に診査・診断・治療を受けていただくことが先決だろう。来院者があと10%増えるだけで、1医院あたり1日15人増えることになる。「潜在需要」はすさまじい規模で存在している。
●+「予防」で2倍に
厚労省によると、日本では第1次予防(発症予防のための検査・健康診断、PMTC等)を目的に歯科医院に来院するのは、来院者全体の0.64%、1日8千人たらずである。依然として「歯医者には行きたくない」「どうしても我慢できなくなったら仕方なく…」という現実がある。しかし、予防のために通院する人が、欧米の「8割」とはいかなくても新たに2割増やすだけで1日3.4人来院者が増えることになる。「潜在患者」+「予防」で、来院者は2倍にアップする。その可能性は無尽蔵である。
●まず「一歩踏み出す」
しかし、何もしなければ何も変わらない。
ビジネスの世界では、経営者に必要な条件として「5つのション」:
1、Vision(明確な目標) 2、Passion(熱い情熱) 3、Mission(高い使命感) 4、Decision(迅速な決断力) 5、Action(俊敏な行動力)の必要性が強調されている。
そのどれもが大切だが、歯科界にいま一番必要なことは、アクション! 「一歩前に踏み出す」ことである。カベは何か? 潜在患者や予防歯科へのアプローチの必要性はわかるが、「でもウチではやってもムダ」「でも動くのがめんどう」…という消極的な「でも」の意識が頭をもたげてくる。
最大のカベは自分自身である。まずはそれを打破しよう。
●6つめの「ション」こそ!
もちろん人間はそれほど強くはないし、孤独なドクターも多い。だからこそコムネットは、6つめの最も大切な「ション」、「コミュニケーション」を提唱している。地域の人々の口腔の健康を守るという歯科医院のミッションを掲げ、ビジョンを共有し、情熱をもって行動し続けるには、医院のスタッフ、仲間達との信頼関係、地域の人々、患者さんとのコミュニケーションが不可欠である。診療も経営も「コミュニケーションが全てである」とさえ言える。「人を動かすのは人」だからである。
●もっとコミュニケーション!
先月185号と本誌のTogether Interviewをぜひご覧いただきたい。紹介した大澤歯科、谷崎歯科どちらの医院も、予防歯科に取り組み、健康な口腔がつくる元気な子どもと地域作りをすすめる決意をして、それぞれの方法で旺盛に活動を展開している。そして「情報提供」と「コミュニケーション」を核にドクター、スタッフ一丸となって情熱的に向かっている姿も共通している。
何よりも、まず行動!
自ら動けば必ず変わる。受診をためらっている人に、そして自院の患者さんに、ずっと一緒に、健康を守り、さらにすばらしい「美と健康」をめざしてともに歩むパートナーとしての熱いメッセージを送り続けよう!