6月を〈歯科〉でいっぱいに!
●歯の衛生週間スタート!
6月4日から10日まで、「広げよう『噛む』から始まる健康づくり」をスローガンに「歯の衛生週間」が展開されます。この「週間」は厚労省、文科省、歯科医師会が主催し、@口腔衛生に関する知識の普及啓発 A歯科疾患の予防処置の徹底 B早期発見、早期治療の励行 C歯の寿命を延ばし国民の健康の保持増進に寄与するを目的として取り組まれます。各地で多彩な取り組みが企画されており、いま大車輪で準備中の医院も多いと思います。
「歯の衛生週間」の歴史は1928年(昭和3年)に日本歯科医師会が6月4日(ムシ)の語呂合わせから「第一回全国ムシ歯予防デー」を実施したことに始まります。戦時下では「一億一心肇国精神を奉体して、国運の宣揚に励み益々国民の増強に努める」ことが求められ、「歯磨教練」「噛み方教練」などが行われました。当時の標語には「節米は咀嚼から」、「興亜の食糧 咀嚼で活せ」「多く採るより多く噛め」などがみられ(*)、食糧欠乏状態のなかでの国力増強の重要テーマとして口腔の健康が強調され、「咀嚼」が奨励されたのです。
1958年(昭和33年)に現在の「歯の衛生週間」に名称に変わって半世紀以上たった今でも、6月4日は国民の多くが「むし歯予防デー」と呼んでいる国民的な「記念日」のひとつです。
●地域を視野に入れた活動
「歯の衛生週間」では「無料歯科検診」や「無料健康相談」、「ブラッシング指導」「フッ素塗布」「むし歯ゼロ・8020表彰」等のイベントが行われ、動物園の動物たちの歯科健診も恒例行事ですが、今年は、「地域」を視野に入れた動きに注目したいと思います。
日本歯磨工業会では今年度「住民主体による8020運動の新たな展開」を重点目標にして、地域に根ざした歯の健康づくりをすすめるためネットによる啓蒙活動などを行うとしています。
また、愛知県では、警察署が、無人の時間が少ない歯科医院に対して、子どもが事故や事件に巻き込まれそうになったときに駆け込める「こども110番の家」を委嘱。歯科医院で虐待やネグレクトが発見されることともあわせて、歯科医院が地域全体の安全、健康にも力を発揮することが期待されています。
口腔の健康を守り増進させてゆくために、何よりも地域住民自身が主体的に、自覚的に口腔ケアや健康増進に取り組んでゆく意識を育てることが大切です。この視点は、医療本来のありかたからみてもきわめて重要なポイントです。
●6月を「歯科の月」にする
そのためには地域を「育てる」努力、働きかけが不可欠です。まずは、この国民的イベント「歯の衛生週間」を最大限に活かすことから始めましょう。
千葉県では6月4日に民間企業が共同(デンタルサポート社+いすみ鉄道)で、無料の「口腔ケアセミナー列車」を走らせて、大多喜-大原間16キロ、片道30分を往復する貸切の車内で口腔ケアの指導や嚥下体操を行うというユニークな取り組みが計画されています。
「地域」に向けて、自院ですぐできることはすぐやる。地味でも、人々の心に届くメッセージを送る企画などを計画してはいかがでしょうか。発想を変えた新しい展開や周囲と協力して取り組む企画は、今年は無理でも、来年、再来年に向けて準備を始めましょう。
日本歯磨工業会は関連企画として、6月末を締切りに「歯の大切さ」をテーマにした標語を募集していますが、たとえば「歯の衛生週間」も思い切って「月間」にして6月を1ヵ月間、「歯科」の話題づくりや取り組みでいっぱいにするというプランがあってもいいのではないか…。
いろんなことを考え、話し合い、いろんなアクションをおこして、ぜひ「歯の衛生週間」を機に「歯科から日本を元気にする」夢を育て、意欲を燃やす1ヵ月にしていきましょう。
(*「ライオンミュージアム」より)