王道経営で突破口を拓く
●インプラント出荷半減!
最近の新聞に、トップクラスのシェアを誇る大手メーカーのインプラント関連製品の出荷額が急激に減少し、12月期には前年比で半分に落ち込む見込みと報じられました。こうした報道を待つまでもなく、日々臨床現場で患者さんと接している歯科医院のみなさんにとっては、現在の世界同時不況による患者さんの受診抑制・自費治療減少という受診動向の変化はいち早く肌身に感じておられることと思います。環境はすでに「激変」しています。その事態を冷静に受け止め、分析し、ただちに必要な対応(行動)をとりましょう。
●10%が自費治療中断!
このたびコムネットはメディカル・コミュニケーションズ(株)と共同で、「患者さんの本音を聴く!ネットアンケート」HONNET(ホンネット)プロジェクトをスタートさせました。初回のアンケート「迫る不況!いま患者が求める歯科医療とは?」の結果を掲載しました。数字に表れたのは、回答者の34%が歯科の「受診頻度を減らす」または「行かない」と答え、とりわけ低所得層での抑制意識が強いこと、また不況を理由に治療を中断した患者が自由診療で10%を超えていることが特徴で、「低所得者の4割が受診抑制」「歯科の42.0%で患者が減少」という保団連の調査を裏付ける結果でした。
●患者が増えている医院も
しかし、こうした時代でも患者増、収入増の快進撃を続けている歯科医院も存在します。「16.0%の歯科医院で患者が増えている」(保団連)のです。コムネット会員の歯科医院にも「不況はほとんど影響がない」「逆に忙しくなっている」という会員が多く存在しています。そのわけはどこにあるのでしょう。今回のHONNETアンケート結果のなかに、その要因を見ることができます。患者さんが増えている医院と減っている医院の違いには、前回述べた「コミュニケーション力」が大きく関わっています。
●技術力・説明力・明朗会計
HONNETアンケートでは「今後の歯科医院選択の際に重視する項目」を尋ねています。患者さんが重視するのは、第一に「歯科医師の技術力」、第二に「治療内容の丁寧な説明」、三番目に「治療費の明確さ」と「歯科医師の人柄」が並びます。即ち、この条件をクリアしている医院は患者さんが定着し、さらに新しい患者さんが集まっているのです。歯科医療の柱は治療技術、しかし患者さんには「腕」を見極める判断基準がないのが現実です。そこで、「丁寧な説明」を受けて納得して治療を選択するのです。そのコミュニケーションの「質」が診療の成否を決定するのです。「明確な治療費の説明」を重視するのも同じ、患者さんがきめ細かな情報提供を求めているからです。
●歯科が突破口を拓くとき
良好なコミュニケーションによって形成される「相互信頼」こそが診療の基礎であり「行きたくなる歯科医院」の条件なのです。患者さんの不安、疑問に答えるにとどまらず、意識や知識のギャップを埋め、さらに健康を守り増進させるパートナーとして、積極的に情報を提供し、思いを共有していきましょう。
暗雲たちこめる時代、歯科医院が先頭に立って患者さんや地域のみなさんの健康とQOL向上のために力を尽くし、医療者としての「魂」をもって「王道の経営」を貫く、その姿勢を旺盛に発信していきましょう。経営向上は確実にその延長線上にあります。核になるのは「コミュニケーション」のパワーです。人々は、その元気と明るさ「希望」を求めています。歯科医療の現場から、そして貴医院から、時代の突破口を拓いてまいりましょう!