歯科界へのメッセージ

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コムネット会員情報誌「Together」に掲載している、弊社社長・菊池恩恵によるコラム「TRIANGLE」です。

診療哲学とコミュニケーション

●歯科医療費減少が止まらない

先月に続いて、厳しい現実を反映する統計が発表されました。2006年度の歯科医療費が2兆5千39億円で4年前と比べて800億の減少という数字です。33.1兆円の国民医療費に占める割合も7.6%で0.8%ダウン。一方歯科医院は2千3百医院増えて67,441医院、歯科医師の数も97,198人で4,324人増加しています(2002年比)。歯科医師は今後5年以内に10万人を突破することは確実で、小さくなる「パイの争奪戦」がさらに激化しそうです。

「10万人」で思い起こすのは1992年の野村総研レポート。歯科の将来像として「歯の保存、補綴中心の医療では、将来10万人を超える歯科医師の経営を支えることはできにくい」と述べています。事態はその予測どおりに進んでおり、歯科は根本的な方向転換を迫られています。

●歯科コーディネーターの活躍

先日、第II期「歯科医療コンシェルジェ認定講座」が開講しました(主催:NPO歯科医療コンシェルジェ協会:佐藤二三江理事長)。今回特に注目されたのは、韓国Ye(イェ)歯科のコーディネーター高原陽子さんの講演。「コーディネーターが歯科にもたらす魅力」と題して明るくパワフルなプレゼンテーションを行いました。

韓国内に56医院、ベトナムや中国にも進出する旺盛な事業展開や15階建の超豪華ビル、「冬ソナ」の主人公たちの担当医という華々しさに関心が集まりがちですが、私にはYe歯科の根本にある診療理念、即ち「Ye哲学」とコーディネーターによる徹底した「コミュニケーション」にこそ発展の原動力があると感じました。

●医院経営の基本に「Ye哲学」

高原さんは、Ye(イェ)の意味は「礼(イェ)・芸(イェ)・Yes」であり、「礼=顧客に対するサービス・芸=芸術のレベルの治療&技工・Yesの精神」にあると説明。「Ye哲学」(YE WAY)が、「ハイクオリティの治療・人間中心の経営・シェアする精神・人間中心の診療」をつうじて「顧客(患者さん)と職員の幸せ、成功をめざす」ことにあると語りました。医院経営の基礎にある医療人としての「志」を感じます。「One for all, All for one meeting」「Vision meeting」「Town meeting」「未来旅行」等の活発な院内ミーティングにもその思想が貫かれており、朴仁出(パクインチョル)代表院長をはじめ5人の「スタードクター」による「美と健康」をめざす韓国最高水準の診療とサービスで、病院を「ステキな思い出が作れる」場所として完全にイメージを転換したのです。

●治療終了後のカウンセリング

ソウル・カンナムの「本店」では新患・ケア・サービス・経営の4セクション13人のコーディネーターが活躍中。彼女たちは来院者に対して「何があってもあなたの味方」という立場を貫き、親身になって聴き、新患 ⇒ 診療前 ⇒ 診療 ⇒ 診療後のそれぞれのプロセスでカウンセリングを行っています。特筆すべきは、高原さんが「患者さんの満足感を一番高められるポイント」として紹介した「治療後のカウンセリング」。支払いも終わりすべてが完了した後もさらに説明する熱心さに患者さんは心から感謝のことばを述べ、「そこで人間関係が形成されるのです」と語りました。

見事な締めくくり、そして継続的な「美と健康」のパートナーとしての確かな絆を結びます。Ye歯科を訪問した人は「人」のすばらしさを語ります。それが「繁栄の王道」にほかなりません。診療の根本「人間中心の医療」を据え、「コミュニケーション」を貫き、患者さんに「美と健康」の最高の価値を提供する。日本の歯科の現状を突破する根本テーマがそこにあります。

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