「天の声」に真摯に向き合う
●「末期症状」の福田内閣
ついに福田内閣の支持率が20%を割り込みました(共同通信19.8%・時事通信19.9%)。昨年9月の内閣誕生以来、前政権の「泥をかぶった」と同情される福田首相ですが、ガソリン税の「暫定税率」の復活、「姥捨て山」と批判される後期高齢者医療制度のゴリ押しという、従来の国民負担増の路線を無批判に踏襲する泥縄政治に対する国民の憤りが頂点に達したといえます。過去に森内閣が20%を割って半年後に退陣したことを例に、マスコミは連日「死に体内閣」「崩壊秒読み」と報じています。
●何が間違っているのか
確かに連休直前のガソリン値上げで一気に人心が離れたという側面もあります。しかしそれ以上に、国民の怒りの根底には6年間も「着実な景気回復・向上」と言われながら、その恩恵が一部の大企業や大都市部に集中し、大多数の地方や中小零細企業は未だ生き絶え絶えに苦しんでいる現実があります。「孤独死」「ネットカフェ難民」や「ワーキングプア」の増大は、「格差」が解消するどころかさらに拡大、深刻化していることを物語っています。
国民の思いがどこにあるのか、何を求め、何に怒っているのか、国のリーダーは「天の声」を原点に政治の舵を取らない限り自ら墓穴を掘ることになります。
●歯科医療の新しいテーマ
歯科医療も同じ、「天の声」をどうキャッチするかで進路は大きく変わります。前回、後期高齢者医療に取り組む歯科医療のターゲットとして「先ずは患者家族が本当に望んでいる症状を改善させる」という秋広良昭氏の言葉を紹介し、口輪筋・表情筋のストレッチによって、よだれ・笑顔・会話・飲食等のトラブルを改善し「あたりまえの生活行動」(ADL)を向上させることが可能であり、それが「人間としての尊厳を重視した治療」である、と強調しました。従来の「歯科の領域=口腔内の軟・硬組織」という概念を超えて、口腔を通じて全身症状の改善、健康増進に寄与すること、それこそが「天の声」に応える新しい歯科の緊急かつ実践的なテーマにほかなりません。
●「天の声」へのアプローチ
「天の声」とは、言い換えれば「ほんとうの願い」ということです。それにアプローチする道は一つだけではありません。コムネットはこのたび「患者さんの声」それも苦情・クレームを受け止めて歯科医院をサポートする目的で設立された「日本歯科医療相談センター」の趣旨に共鳴して、会員内外に加入を呼びかけることにしました。
センターの設立を支援した山崎芳徳氏(熊本市・開業)は「苦情を言う患者さんをこそ大切にしましょう。クレームは『天の声』であり『ギフト』なのです」と語ります。そして「その声を真剣に聴き、スピーディーに対応すれば、クレームは『宝の山』になるのです」とも。氏は苦情への真剣な対応によって信頼の絆が強くなり、その結果として、紹介患者や自費率の飛躍的な増加を経験しています。
中立公平な立場のこのセンターを活かしながら、院内コミュニケーション、患者さんの「本音」に迫る取り組みを進めてください。「天の声」に真摯に向き合い、患者さんの幸せのために力を尽くすなら、医院経営にも歯科の未来にも大きな可能性が広がるのです。
まずは「傾聴」から、自信をもって始めましょう。