歯科界へのメッセージ

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コムネット会員情報誌「Together」に掲載している、弊社社長・菊池恩恵によるコラム「TRIANGLE」です。

医療チームの一員として

●歯科医療「大変動」の時代

桜の開花とともに4月を迎え、新しい"スタートの季節"が巡ってきました。歯科界は「大変動」の時代、いよいよ診療報酬改定に基づく新しい歯科医療体制の開始です。前号でも述べたとおり、今回の改定は「後期高齢者医療」を含む「在宅歯科医療」を強く打ち出す大きな転換となりました。ウ食処置の全面復活が「歯科医療の尊厳を回復する象徴」(日歯広報)であること自体に異論はありません。しかしそれ以上に、これまでの「高齢者歯科=義歯」という構図を超え、高齢者医療全体に視野を広げたことは「歯科医療の誇りと可能性を切り拓く」画期的な出来事といえます。歯科界はもっと「アツく」反応して良いのではないでしょうか。

●他科と共同で高齢者を支援

在宅医療推進の目玉は「在宅療養支援歯科診療所」の新設です。文字通り在宅・施設における高齢者の療養を歯科医療面から支援するもので、「歯科衛生士1名以上」など一定の基準を満たす歯科診療所が、訪問診療で口腔機能の管理を行う場合「後期高齢者在宅療養口腔機能管理料」(「在口管」180点月1回)を算定します。

このほかに病院からの「退院時共同指導料1」(600・300点)「在宅患者連携指導料」(月1回900点)「在宅患者緊急時カンファレンス料」(月2回200点)「後期高齢者終末期相談支援料」(200点)等、今回新設された項目は歯科医師、歯科衛生士が、医師や看護士、薬剤師等と共同で指導、支援を行うもので、各種加算を加えると大幅な報酬増が見込まれます。

●キーワードは「チーム医療」

これら新項目のキーワードは「チーム医療」です。これまで歯科は「口腔は健康のカナメ」でありながら「医療チーム」に正当に位置づけられていませんでした。端的な例が"口腔領域"「食べること」によって患者が劇的な回復をみせる病院のNST(Nutrition Support Team「栄養サポートチーム」)のメンバーにさえ、歯科医師や歯科衛生士が加えられた例はありません(チームは医師・看護士・管理栄養士・薬剤師・リハビリの療法士で構成)。

その意味から、今回の「共同」の持つ意義をふまえて、歯科が積極的にそのなかに飛び込んでゆくことが何よりも求められています。「歯科の領域」は「歯」と「歯周組織」だけではありません。口腔に関わるすべての組織、即ち「全身」であることに誇りをもって医療チームの一員として活動していきましょう。

●チームの団結が成功のカギ

今まさに「チーム」のパワーが求められています。スタッフの力を引き出し、医院全体が一致団結して目標に向かうことが成功の秘訣です。どのような診療スタイルを選択するにしても、全国8万人の歯科衛生士の役割がきわめて大きくなっています。

現在、要介護・要支援の高齢者が431万人(2006年10月)に達し、2015年には国民の3人に1人が65歳以上の高齢者となる超高齢社会を迎えて、訪問診療を求めるお年寄りが自宅や施設であなたを待っています。歯科衛生士とタッグを組み、他科の医療チームとともに高齢者のADL、QOLを向上させる取り組みに参加しましょう。なかでも、「要介護5の人が立ち上がった」実績のある、Mパタカラによる口唇筋・表情筋エクササイズを広げてゆくなら、歯科は確実に医療チームを牽引し、「歯科の価値」は飛躍的に高まるはずです。ぜひ私たちとともに「新しい一歩」を踏み出していただきたい。歯科が脚光を浴びる時代は、すぐそこまで来ています。

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