高齢者医療へのチャレンジ
診療報酬改定が描く歯科の未来
●20年度診療報酬改定
中医協は2月13日、0.42%「プラス改定」となる平成20年度の診療報酬改定を答申。その週の「日本歯科新聞」は、「歯科の初・再診料2点ずつ引き上げ」と大きな見出しを掲げました。確かに、歯科再診料の引き上げは10年ぶりで医科のゼロ改定を考えれば一歩前進といえます。しかし、文書提供義務の簡素化、接着ブリッジやレーザーなど、先進技術導入を認める内容が盛り込まれる一方、歯科疾患の診断・指導・管理における2年前の改定を廃止して「歯科疾患管理料」に強引に一本化するなど、「またか」という批判が必至の内容も含まれています。
しかし、私達は、今回の答申に、これからの日本の医療全体における歯科の役割と位置づけを決めるきわめて大きな転換が示されたことに注目しています。
●高齢者歯科医療の推進
今回の改定のもっとも大きな特徴は、後期高齢者医療を含む「在宅歯科医療の推進」を強く打ち出したことです。歯科疾患や摂食嚥下障害が、後期高齢者のQOLに大きな影響をもたらすことから「口腔機能の評価」「管理」「指導」に対する算定を新設して高齢者医療推進の道を開いたことは、歯科の「新しい領域」をひらく画期的なことです。
とくに「在宅医療」に対して「在宅療養支援歯科診療所の新設」「後期高齢者在宅療養口腔機能管理料」「退院時共同指導料」「在宅患者連携指導料」「在宅患者緊急時カンファレンス料」「後期高齢者終末期相談支援料」が新設され、全面的な展開となっています。
それは、歯科医療政策を医療全体の「在宅医療」「訪問診療」へのシフトと連動させることを示すもので、国の「医療姿勢」が大きく転換したことを表しています。
●長崎の熱気が示すもの
コムネットは2月6日に長崎市歯科医師会に協賛して、秋広良昭氏による高齢者医療における摂食嚥下指導の研修会(Mパタカラセミナー)を開催しました。会場には、平日の夜のセミナーにもかかわらず、140人もの歯科医師・スタッフが駆けつけ、会場は大きな熱気につつまれました。
平成19年6月、Mパタカラが、摂食障害のリハビリ器具として健康保険の算定が認められて以来、秋広氏は各地で口輪筋・表情筋のエキササイズによる脳の活性化と障害の改善の実例を紹介して「歯科のみなさん、高齢者医療・訪問診療にとりくんで、歯科の新領域を切り拓きましょう」と訴えてきましたが、まさにその重要性が国によって認められたのです。
もちろん長崎セミナーの時点では、今回の点数改定の情報はありませんでした。しかし、危機を迎えている日本の医療、歯科医療のこれからを考えるとき、高齢者医療に取り組むことが不可欠の課題であること、そしてそれが医院経営を活性化させる「決定打」となることを、参加された多くの方が確信したといえるでしょう。
●ただちに一歩踏みだそう!
いま、「公式」に健康保険のレールが敷かれた以上、ためらう必要はありません。「国策」として歯科界が高齢者医療に向かってゆくことを求めているのです。そして、私達はそれに応える「武器」すなわち、理論と実践、実績の症例を蓄積しています。そして何よりもMパタカラという「試され済み」のツールを持っています。
ぜひ、この1年間のTogether(デンタルサポート会員情報誌)を読み返してください。そこには、明日からすぐに実践できるノウハウとツールが満載されています。私達の準備もすでに整っています。ぜひ、ご一緒に「新しい一歩」を踏み出しましょう。