歯科界へのメッセージ

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コムネット会員情報誌「Together」に掲載している、弊社社長・菊池恩恵によるコラム「TRIANGLE」です。

チームの力を引き出す

● 「王ジャパン」世界一!

荒川静香につづいて日本国民をテレビに釘づけにしたのは、王監督率いるWBC(World Baseball Classic)日本チームの大活躍です。野球人気が低迷するなかで(昨年の巨人戦の平均視聴率10.2%)、3月21日の決勝戦の視聴率が43.4%、監督が胴上げされるシーンでは56.0%にのぼり、街頭のテレビスクリーンには人垣ができました。

信じがたい〈誤審〉もあった「崖っぷち」の2次リーグ(1勝2敗)から奇跡的に決勝トーナメントに進出した日本。1次でも2次でも敗れている韓国に準決勝で大勝し、決勝で「実力世界ナンバーワン」のキューバを破って初代WBCチャンピオンに輝いた「王ジャパン」は、「野球って面白い!」と国民の目をひきつける魅力にあふれていました。なかでも、逆境に直面しても決してあきらめず、「勝つ」という目標に向かってたたかい続ける「王ジャパン」のひたむきさに心うたれました。

●最強チームに成長!

期待された主力選手の出場辞退が相次ぐなかで、走り、守り、チームワークという「原点野球」で栄冠を勝ち取った選手たちの喜びはひとしおで、シャンパンを浴びながら「諸君はすばらしい!」と叫んだ王監督の言葉には、選手たちへの感謝と尊敬の念が満ちていました。

「勝ちたい」という執念の塊の王監督、「野球人生最大の屈辱と最高の瞬間」をともに味わったイチロー、代打起用に見事に応えた福留選手、MVPの松坂投手等々、チームのメンバーすべてが自分の持ち場で全力を出しきり、すばらしい結果をもぎとったのです。

選手達は戦いの中で成長し、ひとつの「チーム」になりました。「やばいっす!」「このチームで1年間メジャーで戦ってみたい」と語ったイチローの言葉がそれを物語っています。野球少年の顔で「みんなとここで別れるのがつらい」と語っていたのが印象的で、私たちにすがすがしい風を吹き込んでくれました。ここに「高視聴率」のもうひとつの理由があります。

●新しいリーダーシップ!

「王監督は変わった」といわれています。現役時代厳しい練習のうえに栄光の「世界のホームラン王」(国民栄誉賞第一号)になった彼は自らの経験のうえに、監督を務めたチームの選手たちにも同じものを求めました。しかし成績は振るわず、心ない罵声をあびせられ「生卵事件」という行為を受けたこともありました。

その苦境のなかでも、非難に耐え「我々は勝つしかない」とチームを奮い立たせ、ついに1998年21年ぶりにホークスをリーグAクラスに押し上げ、翌年日本一に輝きました。そしてソフトバンクの今もトップグループを走り続けています。

その飛躍の背景には王監督が指揮の方針を変え「選手と同じ視線」に立ったことが挙げられています。威厳を保ちつつも選手たちと無邪気にシャンパンをかけ合う姿には、ピラミッドの頂点から指示を出す英雄型から、オーケストラのコンダクター型へと「変革したリーダー」の姿をみる思いがします。

●日々変わり続ける!

組織(チーム)を構成しているのも、動かしているのも人間です。「人は人のなかでのみ生きる」生き物です。日々生活しているかぎり、楽しいことばかりではありません。苦しいことばかりでもありません。それぞれ感情の起伏もあります。人も組織も、良くも悪くも変わります。その組織が生き生きと、目標に向かって常に最高の力を発揮するためには、個々人の持ち味を生かし、力をフォーカスさせる組織作りが必要です。

いま、歯科医院でもコーチングや個性分析、チーミング(チームマネジメント)など、組織の活性化をめざす様々な試みが行われています。組織の性格は、最高責任者でありチームリーダーでもある院長の姿勢が決定的です。チームの仲間達をどこへ導くのか、どこに一緒に進んでいくのか、リーダーはどうあるべきか。それが、WBCから与えられたチャレンジの課題です。「最高のチーム」作りのための第一歩を、踏み出していきましょう。

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