歯科界へのメッセージ

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コムネット会員情報誌「Together」に掲載している、弊社社長・菊池恩恵によるコラム「TRIANGLE」です。

「パタカラ」から「ヒットスポット」へ

〈唇〉+〈舌〉のトレーニングと歯科の将来

●〈舌筋〉が「ヒットスポット」

「パタカラ」開発者として知られている秋広良昭博士はこのほど新しい口腔リハビリ器具「ヒットスポット」を発表しました(株式会社パタカラ)。唇・口輪筋を鍛える従来の「パタカラ」の機能を継承しつつ、同時に「舌」に負荷をかけて舌筋をトレーニングし、より確実に舌根の沈下を防止するという開発意図が読み取れます。安価で取り扱いが簡単という点も大きな前進といえます。

●「ブーム」から「スタンダード」へ

2000年に本格的に発売を開始した「パタカラ」は、これまで「医療の空白地帯」であった「くちびる」の機能に注目し、口輪筋の筋力アップによる口呼吸の解消と鼻呼吸誘導をめざした画期的な発明でした。それまで、口呼吸の弊害が指摘されながらも、全身との関連や口輪筋の脳への影響はほとんど知られていませんでした。いびき・OSASの延長線上にある心疾患や脳血管疾患の予防や口臭や歯周病対策、さらには表情筋群のストレッチによる小顔、美顔効果等々、様々な分野から注目されました。その結果「パタカラ」はこれまでに全国で30万個を出荷するヒット商品になり「ブーム」から「スタンダード」としての地位を確立しつつあります。

「ヒットスポット」は舌筋をターゲットにして、より確実に鼻呼吸への導入を実現する「一歩進んだ」口腔リハビリ器具といえるでしょう。

●2025年国民医療費69兆円に

5月19日、衆議院第一議員会館において「人間サイエンスの会」が開かれ、東京歯科大学の野呂明夫先生が「くちびるの不思議な働き」と題して講演を行いました(会員情報誌Together 2005年6月号4ページ参照)。会を主催した衆議院議員の山本有二氏は「今まさに国の財政再建が急務になっており、このまま推移するならば社会保障費が毎年1兆円ずつ増加し、10年後には消費税を19%にしなければならないという逼迫した状態です」と語り、「パタカラ」口腔リハビリによる医療費削減効果に期待を表明しました。日本の国民医療費は2003年で30兆8千億円、そのうち高齢者医療費は1/3以上の12億3千億円に達しています。厚生労働省によると国民医療費は2025年には69兆円にのぼると推計されています。高齢者の死亡原因は、ガン・心疾患・脳血管疾患・肺炎と続き、それらを減少させることができるなら医療費全体の圧縮に大きく寄与するでしょう。

●「口腔リハビリ」の国民運動

国会議員の研究会のなかで、野呂先生は「口輪筋トレーニングに舌筋のエクササイズを組み合わせた『口腔リハビリ』を日本の医療のなかに国民的な運動として広めていきたい」と国会議員や医療界全体の協力を呼びかけました。口腔筋力のアップが高齢者の「寝たきり」解消や壮年期の脳と心臓を疾病から守ることにつながり、真の「健康日本」創造の基礎を築くことにつながります。かつて秋広先生は新聞のインタビューに答えて「唇筋トレの国民運動」を提唱しました。「ヒットスポット」はそれを「舌筋」にまで広げ「口腔リハビリ」を担う新しい「健康戦略器具」として力を発揮するでしょう。

「20世紀は『口腔ケアの時代』でした。私達は21世紀を『口腔リハビリ』の時代にしなければなりません」という提唱は日本の医療の方向を正確に示しています。

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