歯科界へのメッセージ

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コムネット会員情報誌「Together」に掲載している、弊社社長・菊池恩恵によるコラム「TRIANGLE」です。

「第三者機関」が医院を評価する

●NPO評価機関 IDI誕生

日歯事件で頂点に達している歯科界に対する不信感のなかで、「歯科医療の質の向上と歯科医療に対する国民の信頼向上」を旗印に掲げ、客観的な立場から歯科医院の機能やサービスを評価するNPO機関「歯科医療情報推進機構」(IDI)が誕生、2005年3月13日設立シンポジウムが開かれました。この機構は、立ち遅れている歯科の情報開示、医院の評価を国民の納得できる形で提示しようという目的で設立され、歯科医院の審査(評価)のみならず、医療技術・患者対応技法の開発、情報開示の検討と普及、講演会やシンポジウムの開催、歯科医療従事者への研修、等の活動を展開する計画で、一般紙も「優良歯科医に認定証」(「読売」3月11日夕刊1面)と大きく報じました。

●「歯科医院の情報たりない」84.6%

コムネットがインターネットを通じて行ったアンケート(2001年・有効回答16,370人)でも、国民は圧倒的に「情報が足りない」と感じています。回答者の実に84.6%が「歯科医院の情報不足」と答え、その結果73.2%が歯科医院を「家や職場に近いから」というだけの理由で選んでいるのが現状です。そして「中立の『第三者機関』による客観的な評価があると良いと思うか」という問いに対して、当時でも約7割、68.1%の人が「あると良い」と回答しています。今回のNPO機関の誕生は、既に1995年から「日本医療機能評価機構」が活動している医科に遅れること10年という遅いスタートですが、ぜひとも実効性のある力強い活動を期待したいと思います。

●「6つのE」による200項目の評価

IDIが審査する評価内容は「6つのE」。

  1. 1.診療内容(Examination:診療方針・治療技術・知識・IC・地域保健活動等)
  2. 2.人的環境(Human Environment:言葉遣い・服装・対応・伝達・院内コミュニケーション等)
  3. 3.オフィス環境(Office Environment:利便性・清潔度・感染対策・廃棄物・機材管理等)
  4. 4.運営環境(Administration Environment:予約・時間外・緊急性・介護・材料等)
  5. 5.管理環境(Management Environment:カルテ・レセプト・伝票・経理・労務等)
  6. 6.改善環境(Improvement Environment:調査・分析・方針展開・ヒヤリハット等)

の6項目。審査方法は、審査票とともに同機構から審査員2名が訪問、院内を観察し、合計200項目に及ぶ審査を行います。審査にパスした医院には5年間有効の「認定証」を発行するシステムです。費用は医院規模によって異なり、10人までの場合50万円と設定されています。

●「透明性」「基準明確化」「チェック」

IDI事務局には、新聞報道の直後から、全国各地から多くの問い合わせが寄せられているといいます。「歯科治療でお悩みの方が多いということを実感し、このNPOが皆様のお役にたてるよう努力したい」と、現時点で認証が終わっている歯科医院をホームページ上で公開する準備をすすめているといいます。

IDIが当初掲げた目標を達成するには、何よりもこうした国民にとって納得できる、わかりやすい評価をして、公開することが求められます。そのために、機構の役員や審査員のなかに、一般市民の声を反映し、代表する立場の人物を選定し委任すること、評価基準の公開、各医院における項目ごとの評価の公開や、認定医院に対する患者側からのチェック機能強化等の検討が必要と思われます。

この機構が真に国民が期待する歯科医療情報提供の切り札として、その役割を果たすことを切に願っています。それが、必ずや歯科界の信頼回復と活性化につながると確信するからです。

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