歯科界へのメッセージ

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コムネット会員情報誌「Together」に掲載している、弊社社長・菊池恩恵によるコラム「TRIANGLE」です。

「歯科界の閉塞感」打破の突破口

●収支差額「3%減少」をどうみるか

厚生労働省は先ごろ2003(平成15)年6月の「医療経済実態調査」結果を報告し、歯科全体の収支差額(医業収入‐医業支出)は118万7千円で、前回2年前の調査と比べて3%減少していると発表しました。なかでも個人の開業医の歯科診療所は医業収入が368万9千円(▲3.7%)で支出を引いた収支差額で122万5千円(▲3.8%)と大きく減少しています。また歯科界から諦めに似た「ため息」が聞こえてきます。

●歯科は景気に左右される選択費目

1984年に1割、1997年に2割と社会保険本人負担が引き上げられ、2003年には3割になり、さらにこの年の診療報酬が「初のマイナス改定」だったことが減少した原因といわれています。しかし、不況下で国民の家計支出が逼迫していることも大きな要因で、総務省の「家計調査」によると「医科診療費」の落ち込みが▲5.5%だったのに対し「歯科診療費」が▲13.7%と倍以上の減少を示していることに注目しなければなりません。すなわち歯科は「景気に左右されやすい」支出費目ということを表わしています。

●「ヒョーロン」閉塞打破!の特集

日本の代表的な歯科雑誌の一つである「日本歯科評論」。毎年1月号には「21世紀の歯科界・歯科医療のあり方」(2001)、「歯科保健医療は誰のためのものか!」(2002)と、正面から歯科界の現状に向き合い将来を展望する意欲的な特集を組んでいますが、本年1月号では「歯科界の閉塞感を打破しよう!(私の提言)」というテーマの下に12人の気鋭の開業歯科医師や大学研究者の提言を掲載しています。「新たな視点で、より活力ある歯科界に向けて歩を踏み出す時期に来たのではないでしょうか。」という編集部の呼びかけに答える各氏の積極的で興味深い論考が並んでいます。

●「視野をひろげ」「元気をだす」

筆頭、近藤隆一氏はアジア各国で飛躍的に進歩している歯科医療の実態を紹介し「自分でドアを開け、世界に飛び出そう」と、厳しい現実を嘆くより実践し、行動するなかで活路を拓いていこうと訴えています。また、康本征史氏は今後の人口動態を分析し、「団塊の世代」の加齢とともに巨大な高齢者のマーケットが創出し「歯科にゴールドラッシュがやってくる」と予言。この「経済的にも時間的にも余裕のある新たな高齢者層」を対象に「自費市場を将来50%を目標にしていきたい」と述べています。提言はさらに「修復治療をもっと自由な発想で」(田上順次氏)、「『口腔成育医』の時代」(菅原準二氏)、等が続き、最後は「こころの時代−必要なのは『気合だぁ!』」(高木幸人氏)で締めくくられています。

●「目標」を定め「まず動いてみる」

これらの提言をみると、受け止める「閉塞感」の内容も「厳しさ」の程度も、実に様々であることがわかります。したがってそれを突破する方策、手法も一通りではありません。「環境の激変」はひとり歯科界にのみ起っている問題ではありません。すなわち「閉塞」の元凶は外部にあるように見えながら、実は自分で「壁」を作ってしまっているということに気づかされます。自分を縛っている固定概念や妄想を断ち切って、ゼロから再スタートさせましょう。そして、もういちど原点に返る、発想を変える、目標を決めてがんばる、自院の得意分野を徹底して伸ばしてゆく、・・・どれも、とはいいません、こうした努力を続けることで、必ず何かが変わります。もちろん「気合いだ!」と自分を励ますことも効果があります。「道は一筋ではない」のです。自分なりの「閉塞打破」の突破口を行動しながら見つけていきましょう。

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