Reborn to the Future!
●日歯井堂新体制スタート
臼田会長逮捕に伴う執行部総辞職による補欠選挙で、5月21日、日本歯科医師会の新体制が決まりました。会長選の8人の立候補者のうち6人までが、総辞職した旧臼田執行部の役職経験者という顔ぶれのなかで、前副会長で、臼田会長逮捕後会長代理を務めていた兵庫県歯副会長の井堂孝純氏(63)が選出されたのです。
井堂氏は、所信表明のなかで、第一の課題に「日本歯科医師会の再生」を掲げ、「真相究明委員会の設置」をするとともに「日歯と日歯連の峻別」を公約しています。翌22日開かれた日本歯科医師政治連盟の評議会では、初めて日歯会長と分離して独自に会長を選出し、新会長には静岡県歯連会長の大久保満男氏(62)が選ばれました。形の上では、「新生」「分離型」の「日歯」と「日歯連」がスタートしました。
●真相糾明・公開・再構築へ
井堂新執行部には、極めて大きなしかも緊急な課題が課せられています。第1に「真相糾明」。多くの候補者も掲げ、全国の会員も望んでいる事実の解明と国民に対する説明をどこまで徹底できるか、国民が注目しています。
とりわけ、いま捜査の舞台が中医協から厚労省へ、さらに政界へと進むなかで、不正な金の流れの疑惑がさらに深まりをみせています。そのなかで「新生日歯」がどこまで自身の「解明能力」と「公開能力」すなわち「自浄能力」のレベルを高め、国民に納得していただけるかという大きな試練なのです。
第2に、国民の信頼を回復するための今後の方向性を明確にすることです。患者さんは正面からは何も言わないかもしれない。しかし、国民から向けられているのは、失望や怒り、更なる疑惑のまなざしです。日本歯科医師会は「医道の高揚」「歯科医学の進歩発達」「公衆衛生の普及向上」「社会福祉増進」を目的とした「公益法人」です。その高邁な志にふさわしい、清廉で、真に社会に貢献し、国民・患者さんのために努力する組織として再生を図らなければなりません。
●国民に信頼される歯科医師に
日本リテイル研究所が毎年行っている興味深い調査があります。「職業信頼度調査」一般市民が信頼を寄せる職業のランキングです。調査は今年4月、臼田会長逮捕以前におこなわれたものですが、「歯科医師」のランクは48種の職業のなかで13位、前年の10位から順位を落としています。ちなみに1位は消防士、2裁判官、3エンジニア、4薬剤師、5看護師、6医師、7自衛隊、8介護福祉士、9弁護士、10精神科医・カウンセラー、11獣医、12保育士 と続きます。今回の事件を機に来年の調査では、ランクがさらにダウンすることが予想されます。
同様の調査を行っているアメリカ(ギャラップ社調査)では、歯科医師は、看護士、医師、獣医師、薬剤師についで5位。順位の差を一概に述べることはできませんが、日本ではなぜランクが低いのか、どうすれば信頼を回復し、さらに高い評価を得ることができるのかを、真剣に考えなければなりません。
日本の歯科医師会100年の歴史のなかで最大の汚点となった今回の汚職事件を機に、歯科医師会の会員のドクターをはじめ、歯科に関わるすべてが、歯科医療の原点に返り、文字通りReborn to the Future「未来のための新生」を遂げようではありませんか。