口唇閉鎖力測定を歯科の基本メニューに
●パタカラ大ブレイクの意味するもの
1月はテレビの力を思い知らされる月になった。起点は「日経ヘルス」2月号の14ページの特集。記事には説得力があり、その後1月19日「おもいっきりテレビ」、21日の「スイスペ!」と、テレビが後を追ってパタカラブームに火がついた。この大反響は「小顔」「やせる」ことへの願望の強さを示すとともに「口唇」が美と健康に大きく関与していることへの認識を一気に高める教育的効果を生んだ。
私たちは、口唇ストレッチが国民的な関心を呼んでいることに、歯科界が敏感に反応し正当に評価すべきであると考える。「歯科」の領域を歯牙と軟組織に狭めることなく、秋広博士による口唇の役割の発見と器具開発の努力に拍手を送り、積極的に取組むべきである。パタカラは、日本が世界に誇りうる歯科健康器具に発展したと言っても決して過言ではない。
●「売りっぱなし」にしてはならない
今後パタカラの知名度がさらにあがることは確実だが、ここで私たちが戒めなければならないのは「売りっぱなし」である。パタカラは、副作用も害もない健康器具であるが、継続させるためには(全てに言えることだが)一定の努力を必要とする。販売ルートが、歯科医院のみならず、薬局、雑誌やテレビの通販、インターネット等、多数存在し手軽に購入できる分だけ「中断」もまた容易なのである。
そこで私たちは、歯科医院での購入を呼びかけ、医院が責任をもって指導し応援する姿勢を貫くことを提唱する。当社へのパタカラ購入の問い合わせに歯科医院を紹介しても「初診料をとられるから」と歯科医院の門をくぐることに拒否反応を示す方も少なくない。歯科医院では、安易に「初診」扱いにせず、その場で口唇圧を測定し、パタカラの種類を選び、10日、2週間後、1ヵ月後の変化を教えてくれるよう話をすることを提案したい。
●信頼関係が医院経営向上を生む
もちろんパタカラによる新患増加の効果は疑いない。しかし、販売する側の誠意として、まずは相手の興味や関心、希望に即して対応すべきである。「患者」になるか否かはその後の選択である。そもそも初めての医院でいきなり「患者」にされることは、もし自分が反対の立場であれば、許しがたいことではないだろうか。パタカラに興味を抱いた方に対して医院の間口を広げ、その効果を信じて、実践してもらうことだ。
効果が出れば、その方はドクターと歯科医院への信頼を高め、他の人にも勧めるだろうし、自分の口腔内に異状があれば相談するはずである。こうした粘り強い地道な努力が必ず、医院経営の向上につながると信じる。
●パタカラを歯科界活性化の起爆剤に
これまで私たちは、口唇閉鎖力の測定を訴えてきたが、さらにすすめて、診療の「基本メニュー」に、口唇閉鎖力の測定を位置づけることを提案したい。初診時には、ほとんどが口腔内を診査し、治療計画を提示しているはずである。その診査項目に唇の閉鎖力を入れることは難しいことではない。時間にして1分、閉鎖力測定器があれば事は足りる。その数値によって、口腔内はもとより、いびきや呼吸・睡眠障害、皮膚疾患、生活習慣病等のリスクをつかみ、アドバイスすることは、診療報酬にはならないとしても、患者さんの健康に確実に役に立ち、感謝の気持ちを抱かせるには十分である。
この尊敬と信頼関係の樹立こそ、歯科界の暗雲を振り払い、活性化させる起爆剤になるのである。