平和と笑顔の2004年に
●自衛隊イラク派兵。民意はNO
2004年はイラクへの自衛隊派兵で幕を開けた。日本は戦後史を揺るがす大きな岐路を迎えている。小泉首相は、「力による秩序」を唱えるブッシュ大統領の「先制攻撃体制」に日本を組み込んでゆく道を選択した。唯一侵攻の「大義」であった「大量破壊兵器」は発見されていない。この派兵は「戦後復興のため」でも「人道支援のため」でもなく、アメリカへの加担そのものである。それが彼の言う「国際貢献」の内容である。
しかし、国民の世論は、日本も隣の韓国でも「派兵反対」が過半数である。「毎日新聞」の調査では、「日本の外交、安全は国連中心で」という意見が76%に達し、地方の歯科医師会をはじめ、5百近い自治体が「派兵反対」「慎重な対応」を求める決議、意見書を採択している。保団連等が呼びかけた新聞の意見広告に賛同した医療人は3千人を超えた。
まもなく陸自本隊が派遣されるが、「いのちと健康」を守る医療人として、この事態をどう受けとめるのか、根源的な問いが発せられているということを、会員ドクターの皆様とともに決して忘れずにいたい。「平和」が全ての基礎であり、民意に背く政治は国を滅ぼす。
●歯科医療に夢と誇りと活力を
私たちコムネットは、年頭に「患者さんに笑顔と健康を! 歯科医院に夢と誇りを! 歯科界に活力を!」をスローガンに掲げてスタートした。「最低4%減」の財務省提示に揺れた診療報酬引き下げは激しい批判のなかで「0%」に収束したが、医療費削減の高波は今後津波のように繰り返し襲ってくるだろう。調査結果に現れている医療費減(保険診療▲2.6%)、患者減(歯科受診率▲1%)、収入減(医療経済実態調査前回比▲3.8%)という現実に、歯科に未来はあるのか、と悲観するのも無理からぬことかもしれない。
しかし、困難ではあるが、それを突破し経営を向上させることは決して不可能ではない。経営悪化の原因は「環境変化」にあるのではなく、本当の原因は「自分自身」のなかにあるからである。事実、同じ環境の下でも、繁盛し「過去最高の件数でした」とうれしい報告をしてくださる会員のドクターが数多く存在している。その違いはどこにあるのか。
●患者さんの願い「笑顔と健康」
その答えのヒントは、会員情報誌“Together”のインタビューの中にある。栗家洋先生はこう語っている。「何をやるにも『経営の安定が基礎』であり、経営の安定には『患者さんが集まる医院』にしなければならない。患者さんが集まる医院とは『通うのが楽しく、願いを確実にかなえてくれる医院』のことである」と。患者さんの願いとは何か。私たちは、歯科即ち「口腔」領域に関わる様々な願い、その全てがターゲットになると考える。
まず患者さんの悩みや願いを知ることから始めよう。歯牙と歯周組織だけが歯科の領分とする考え方は直ちに克服されなければならない。「口臭」「カゼをひかない」「素敵な笑顔」「構音」「摂食嚥下」「ドライマウス」「呼吸」「睡眠障害」「食べること」「歌うこと」…等々、口腔をつうじて患者さんのQOLを高め、アメニティを実現するテーマは数多く存在する。端的にいえば「笑顔」「美と健康」に収斂されるこれら患者さんの願いに対して、歯科は応えるべき多くの手段と方策を有しているのである。
患者さんに喜びと感動を与える、そのために、既成の概念や枠組みにとらわれない自由で大胆な試みをぜひ医院運営のなかに取り入れ、「特徴ある医院」にする「強み」を獲得されることを提案したい。「壁」は自身のなかにある。コムネットはその壁をともに突破し飛躍を志すドクターのチャレンジを全力で応援する。「平和と笑顔の2004年」を願い、その実現にむかって進んでいきたい。