『ブラックジャックによろしく』を読む
●「医者っていったい何なんだ!?」
いま大評判のコミック『ブラックジャックによろしく』(講談社)。単行本1-4巻だけでも400万部以上を売り上げたといいます。さらに、4月から6月まで、テレビドラマとして11週放映され(TBS系)、視聴率は12-16%、常にベストテンにランクされました。
視聴者の感想は「久しぶりに力のこもったドラマをみた。」「医療について考えさせられた。」「英二郎の真摯ながんばりに勇気をもらった。」と若き研修医斉藤英二郎が、「医者っていったい何なんだ!? 医者の仕事は人を病気や怪我から守ることではないのか!」と不条理な日本の医療の現実に挑み続ける勇気と正義感に感動したという「骨太」のものが多かったのも特徴的でした。
●斉藤に医者の良心の原型がある
「…死にたくなければ、夜間車に乗ってはいけない。万が一事故を起こしても、まともな医者に診察してもらえる可能性はほとんどない」日本の現実。交通事故の診療費は「自由診療」で通常の点数の3倍も請求する病院。国家試験合格にのみ焦点をあてる大学教育、そして実技試験のないペーパーテストで医師の「適性」が判断され免許が与えられる医師養成の問題点。それは決して誇張ではありません。(マフィアとまで称される)医局が支配する系列病院の「閉ざされた世界」で、患者を置き忘れた「医療」がまかり通るなかで、患者とともに病気に立ち向かう斉藤が一般庶民に支持されるのは当然です。
解説本『ホスピタル・クライシス 衝撃の事実』のなかで医学博士の神前格氏は、患者の心に耳を傾け、患者をごまかさず、患者に対して人間としてかかわる斉藤に「いい医者の原型」をみると評価しています。
●「名医の条件22」(神前格)
『患者学』の著者でもある神前氏は「名医の条件」として、以下の項目を挙げ「この22項目のすべてを満たしたものが本物の名医である。」と断言しています。
- 1.豊富な知識。
- 2.今までの経験を身につけている。
- 3.バランスが備わっている。
- 4.患者の訴えをよく聞ける。
- 5.患者をよく観察する。
- 6.患者の言いなりにならない。
- 7.インフォームド・コンセントがとれている。
- 8.診断をきちんと患者に言える。
- 9.自分の専門分野の技術はマスターしている。
- 10.自分の能力の限界をわきまえている。
- 11.自分の専門と専門外を区別できる。
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- 12.他の医者に素直に相談ができる。
- 13.常に教科書で知識を確認している。
- 14.はったりをかまさない。
- 15.患者を恫喝しない。
- 16.迅速な対応ができる。
- 17.学問的興味ばかりにはしらない。
- 18.患者のことを思いやること。
- 19.診療ネットワークを持っていること。
- 20.学会や勉強会に参加している。
- 21.粘り腰であること。
- 22.患者は重症から優先して診る。
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これらは、歯科の世界にも通じるものです。コムネット会員の中にもこの条件を満たすドクターが数多く存在していることを誇りに思うとともに、これからも「患者さんのために」を最優先に奮闘する先生方を全力で応援してまいりたいと思います。