「攻め」のマネジメント
●Peak out!? 企業倒産、戦後第2位確実
マクロ経済は、「景気は緩やかな回復基調にある」とする政府の分析にもかかわらず、今年最終盤「景気は本格回復しないうちにピークアウト」に陥っているという見方が有力です。企業倒産件数もそごう、千代田生命、協栄生命などの大型倒産が相次ぎ、今年は戦後2番目に深刻だった1998年を上回ることは確実とみられています。
帝国データバンクによれば、今年の歯科医院の倒産件数は8月末の数字で14件。医療機関全体の53.8%に達しています。民事再生法の登場によって、その数はさらに増えるものとみられています。政府主導のバラマキ経済運営の失敗と手詰まりのなかで、日本経済の行く手には再び暗雲が迫ってきました。
●「みずから変化をつくりだせ!」
いま、書店で評判の1冊があります。P.F.ドラッカー著『チェンジ・リーダーの条件 みずから変化を作り出せ!』。著者ドラッカーは、日本について「政府が行政指導によって、企業その他の組織を誘導する時代は終わった。」と述べ「政府による経済統制が効かなくなるとともに、個々の組織におけるマネジメントの役割がますます大きくなっていく。」として、この本を「勤務医や開業医」などマネジメント以外の専門家を対象に出版したと述べています。著者の指摘どおり、日本の現実は、すでに「護送船団方式」は過去のものとなり、既成の枠組みは崩壊の過程にあります。
したがって、現在、個々のドクターには「情報を知識に転換し、知識を行動に具体化する」すなわち「自ら変化をつくりだす」マネジメントの力量が大きく問われる時代を迎えています。有能なドクターであるためには、知識を持ち「なぜ」「何を」「いかに」行うかを知り、技能を持たなければならない、とドラッカーは説いています。
●成功への道は一筋ではない
昨今は「厳しさ」ばかりが強調される歯科界ですが、まだまだ可能性に満ちています。しかし同じ現実に直面しても、あるドクターにとっては「極めて厳しい」。その違いはどこにあるのか?それは、物の見方、感じ方だけの問題ではなく、「マネジメント力」の有無に起因するのです。
かつて、「経営の神様」松下幸之助は、儲かる秘訣は?と問われて、「そんなものはない!」と答えたといいます。そのとおりです。成功する、繁栄する道筋は一本ではありません。公式や方程式どおりやって成功するという保証はどこにもないのです。要は、ドクターが自ら「情報」から「知識」を増やし、「行動」するなかで道をつくるしかありません。
●自院の「特色」武器にチャレンジ
コムネット21世紀セミナーで、「パタカラ」を開発された秋廣良昭先生は、これからの歯科医院経営には「攻め」の姿勢が必要、と参加者を励ましました。Bimler Asia Pacific代表の岩附勝先生は「高付加価値の医院経営」で生き残りを、をと訴えました。いずれも、独自の方法論をもとに、国民のなかに「顧客」と「市場」を創造し、組織化する優れたマネジメント能力の持ち主です。同じように、ドクターひとりひとり、またそれぞれの歯科医院には、十人十色それぞれの持ち味があります。その「特色」を育て、フルに生かして、来るべき21世紀にチャレンジしていきましょう。