歯科ビッグバンの行方
患者さんが求める「情報」に答える
●「かかりつけ歯科医」制度スタート
4月1日、介護保険制度とともに、歯科においては「かかりつけ歯科医」制度がスタートしました。患者さんから「ホームデンティスト」と「同意」されたドクターが、患者さんの口腔全体の状態を診察し、治療計画書を作成し、スタディモデルや口腔内写真で説明するという、一連のインフォームド・コンセントの過程に対して(点数の妥当性についての議論はあるにせよ)その機能が認められた点は、大きな前進と評価できます。
私たちは、この制度がドクターと患者さんの絆を深め、患者さんが、一口腔単位で自分の健康状態を知り、自覚的に口腔衛生に取り組む出発点になると考え、情報提供と企画開発の面から応援したいと考えています。
●患者中心の効率的な医療
日本で始まった医療(歯科)ビッグバンは、規制撤廃(外国資本導入、「民間活力」導入、公益法人見直し等)と情報公開(カルテ・レセプト開示、電子カルテ化、広告規制緩和)を柱に、医療サービスの消費者である「患者さんの満足」を中心にした競争原理を追求するなかで進行しています。「すでに自由競争は始まっている」ことを肝に銘じて医院経営を展開しなければなりません。
先月行なわれた日本ヘルスケア歯科研究会の国際シンポジウムで広島大学の栗原英見教授が述べた「21世紀の環境変化5つのM」が示唆に富んでいます。曰く「市場原理のもとで、患者さんは情報を集め主体的に判断する。21世紀は良質な情報提供に基づく信頼関係の時代である。」
●患者さんは「情報」を求めている
すぐにやらなければならないことは、患者さんが求めているもの、不安に思っていることは何か? その期待と不安を的確につかみ、それを解消する「情報」を提供することです。厚生省の「医療サービスと医療保障制度に関する国民の意識調査」によると、48.8%の患者さんが「納得するまで説明を聞きたいが、それができない」、7.9%の人が「治療に希望を反映できない」と答えています。同じ調査で63.8%が「医療機関について知りたい」と希望しています。
また、別の調査では、「診療に対する不満」のベスト3(複数回答)として、(1)病状や治療の説明がたりない。44.1% (2)長時間待たされた。41.5% (3)医師や看護婦が不親切 21.6% があげられています。(健保連「健康づくりと医療に関する調査」)
●インターネットを活用して情報の共有を
21世紀はインターネットの時代です。業種をとわずインターネットを抜きにしては業務が成り立たないとさえいわれています。「情報化」時代、日夜発達し続けているインターネットを活用して、患者さんに情報提供し、患者さんからもアクセスできる双方向の情報環境を作ることは、「かかりつけ歯科医」として選ばれる土壌を作るうえでも大きな力を発揮するでしょう。情報を医療者と患者双方が共有し、自由に意見を述べ、選択できるということが相互信頼の礎になる、そんな時代がきっとやってくるはずです。